成人看護学実習では実習中の事故を予防し,学生と患者の安全を確保するため,実習中の事故予防に関する実習前演習を,急性期実習前と慢性期実習前の2回実施している.演習は事例を用いた自己学習とグループ討議で構成される.この演習における学生の学びと学びの実習への活用状況,演習を2回繰り返すことによる学生の学びの変化と実習中の事故予防意識の変化を明らかにすることを目的として,成人看護学実習を履修した3年次看護大学生を対象に,急性期実習と慢性期実習の終了時の計2回の質問紙調査を行った.分析の結果,9割の学生が自己学習で事故状況を思い浮かべ,事故原因を見出し,事故予防行動を考えることができていた.また,8割の学生がグループ討議で学びを深めることができていた.さらに,実習では学習成果を活用し,事故を予測する,未熟な知識や技術を補う等の事故予防行動を取っていた.演習を2回繰り返した学びの変化について7割の学生が学びの深さは変わらないと回答した.このことから,学生の知識を実践につなげる演習方法の示唆を得た.