千葉県立保健医療大学紀要
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報告
がんを有する介護保険施設利用者の調査
─緩和ケアに切り替える時,および切り替えた後の意思決定の実態─
杉本 知子森 一恵
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2016 年 7 巻 1 号 p. 1_11-1_19

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抄録

 がんを有する介護保険施設利用者(以下,がんを有する利用者)が緩和ケアに切り替える時,および切り替えた後の意思決定の実態について明らかにすることを研究目的とした.
 2012年12月~2013年11月に,関東地方にある3か所の介護保険施設(介護老人保健施設,もしくは介護老人福祉施設)のいずれかに勤務し,がんを有する利用者へのケアの経験をもつ介護職員10名への半構成的面接調査を実施し,面接内容は逐語記録にし,内容分析を行った.
 面接では,研究対象者の全員が,緩和ケアに切り替えた後の利用者の看取りを行った経験について語っていた.その際には,利用者本人には病名等の説明が行われず,家族の意向に沿って意思決定が行われていることが示された.また,《家族はがんの治療よりも認知症が気がかり》になることや,《家族は病状の改善には消極的になる》ために,《家族は医療に頼らず自然死を要望する》という実態あることが明らかになった.
 がんを有する利用者の意思決定には,利用者の家族が抱く年齢や認知症に対する先入観が影響を与える可能性があると思われた.このような意思決定は,介護保険施設で療養生活を営むがんを有する利用者に特徴的であると考えられた.

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