臨床リウマチ
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総説
関節リウマチ診療におけるピットフォール
藤原 弘士
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2010 年 22 巻 2 号 p. 161-169

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抄録
   関節リウマチの日常診療におけるピットフォールとして,本稿では診断,TNF阻害剤投与中のニューモシスチス肺炎,トシリズマブ使用中の細菌性肺炎について記載した.診断においては,1987年のアメリカリウマチ学会の分類基準が長らく使用されてきたが,2009年10月に抗リウマチ薬による治療開始が必要なより早期の炎症性関節炎の患者さんを同定することを目的としてアメリカリウマチ学会とヨーロッパリウマチ学会との合同で新しい予備診断基準が発表された.これらの診断(分類)基準をよく理解し,病気の全体像とその中核をなす症状が何であるかをよく検討した上で,総合的に診断することが重要である.また,ここでは特に高齢者において関節リウマチの診断で時に鑑別が困難である疾患として,リウマチ性多発筋痛症,RS3PE Syndromeについて概説した.TNF阻害剤投与中のニューモシスチス肺炎に関しては,インフリキシマブ投与下での発症危険因子として年齢(65歳以上),プレドニン換算で6mg/日以上のステロイド投与,既存の肺疾患の3つが同定されており,それらを参考にして予防を検討する必要がある.最後にトシリズマブ投与下では,肺炎の初期症状である発熱,CRP上昇の発現が遅延される可能性がありその点を理解して診療することが重要である.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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