抄録
目的:生物学的製剤効果不十分例における関節鏡視下滑膜切除術の術後成績と機能的評価を検討する.
方法:関節リウマチに対して生物学的製剤効果不十分であった17例,30関節,男性3例,女性14例,平均年齢54.8歳,平均罹患期間9.9年,平均経過観察期間36.7カ月,平均MTX使用量6.2mg/週,平均プレドニゾロン使用量4.3mg/日の関節鏡視下滑膜切除術施行前と最終経過観察時のDAS28,HAQを比較し,膝関節滑膜切除術と肩,肘関節滑膜切除術の各HAQ項目の変化について比較検討した.さらに術前HAQと術後平均3年でのHAQの相関を解析した.
結果:術前DAS28は平均5.17±0.56から術後平均3年にて平均3.14±0.44と有意に低下した.術前HAQは平均1.63±0.79から術後平均3年にて平均0.79±0.69と有意に低下した.肩,肘関節滑膜切除術において起立,伸展が有意に改善を示した.一方,膝関節滑膜切除術においては起立,食事,歩行,衛生,握力,活動に有意な改善を認めた.術前HAQと術後3年でのHAQは有意な相関を示した.
結論:生物学的製剤効果不十分例における関節鏡視下滑膜切除の平均術後3年でのDAS28およびHAQに有意な改善を認めた.特に膝関節滑膜切除のHAQの改善が良好であった.