抄録
目的:近年,TNF-α阻害薬がRAの薬物治療において使用される事が多くなっているが,その一方でTNF-α阻害療法の無効・効果減弱例も散見される.今回,INF効果不十分のためTACの追加併用療法を実施した6例において治療効果の検討を行なったので報告する.
対象・方法:対象は2003年11月~2009年4月にINF投与後効果不十分例に対しTACを追加併用したRA患者6例である.性別は男性1例,女性5例.平均年齢は60歳.罹病期間は平均7.5年であった.調査項目は,TAC平均1日投与量,TAC平均投与期間,圧痛・腫張関節数,CRP,DAS28CRP,TAC血中濃度について検討した.
結果:TAC平均1日投与量は1.5mg,TAC平均投与期間16ケ月であった.各項目の平均値はTAC投与前に比べ全ての項目で改善が見られた.RA活動度の推移はTAC投与前では全例high activityであったがTAC投与後ではremission1例,moderate activity2例,high activity3例となった.EULAR改善基準判定にて6例中3例の症例でmoderate response以上の改善を認めた.TACの血中濃度と反応性は相関性を認めなかった.
まとめ:INF効果不十分例にTACの追加併用は,今後期待できる治療となる可能性が示唆された.