脂質メディエーター・ケモカインを標的とした新しい骨吸収性疾患治療薬の開発 ～二光子励起顕微鏡を用いた生体骨イメージングより～

抄録

   単球系の破骨細胞前駆細胞がいかにして骨表面に到達するか，その遊走がどう制御されているかは長い間不明であった．我々は最近，二光子励起顕微鏡を用いて生きたままのマウス骨組織内を可視化することに成功し，前駆細胞の遊走・接着が，脂質メディエーターの一種であるスフィンゴシン１リン酸や種々のケモカインによって動的に制御されていることを解明し，これらを標的とする薬剤が新規の骨吸収抑制剤として有望であることを示した．本稿ではこの研究成果に加え，我々が開発した骨のライブイメージングの方法論や応用についても概説する．