臨床リウマチ
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総説
疼痛治療から考えるRA患者の痛みについて
村川 和重森山 萬秀柳本 富士雄中野 範福永 智栄池田 和世神原 政仁有村 佳修片山 俊子市村 真貴子恒遠 剛示
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2010 年 22 巻 3 号 p. 274-280

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抄録
   痛みの病態からRA患者の痛みを考えると,持続する侵害受容性疼痛となる.病態に対する治療の原理としては,種々の方法により,痛覚伝導を抑制して,中枢への痛み刺激の入力を阻害することである.一般的に用いられている治療手段としては,各種の薬物療法と神経ブロックなどによるインターベンション療法(interventional pain therapy)があり,痛みの治療薬としては,非ステロイド性抗炎症薬,非麻薬性鎮痛薬,オピオイドなどの鎮痛薬が中心となっている.そして,RA患者の痛みの治療を持続する侵害受容性疼痛の治療との観点から考えると,積極的なインターベンション療法の施行とともに,オピオイドを含む,鎮痛薬の広範な使用が必要と考えられる.こうした痛みの病態に対応した治療方針から考察すると,RA患者の痛みの治療はcancer painの治療にも匹敵することから,noncancer painに対するオピオイドの使用は今後さらなる理解を進める必要がある.また,RA の様に慢性的な経過をたどる痛みでは,侵害受容性であっても,末梢性および中枢性にも感作を生じることがあり,神経障害性(neuropathic)の要素も含んで来ることから,疼痛治療の方策にも,こうした観点を含むことが必要であり,薬物療法のみならず,インターベンション療法との組み合わせも,重要となる.
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© 2010 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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