臨床リウマチ
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原著
アダリムマブの有効性と関節破壊抑制効果
塩沢 和子田中 泰史吉原 良祐中川 夏子香山 幸造村田 美紀寺島 康浩田中 千尋山根 隆志松田 茂横山 公信立石 耕司葉 乃彰橋本 哲平柱本 照塩沢 俊一
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2011 年 23 巻 1 号 p. 37-47

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抄録

目的:関節リウマチ(RA)患者に対するアダリムマブ(ADA)の臨床成績を検討する.
方法:2008年6月~2010年8月までの2年3カ月間に甲南加古川病院と神戸大学リウマチセンターで新規にADAを投与されたRA患者159名(年齢57.8±12.8,女性129名,男性30名,クラス2.1±0.6,ステージ2.9±1.0)を対象に治療成績を検討した.同時に,生物製剤初回導入患者群(ナイーブ群)と他の生物製剤からの変更患者群(スイッチ群)の治療成績,MTXの併用効果,関節破壊抑制効果を調査した.
結果:⑴159例中115例(72.3%)はナイーブ群,44例(27.7%)はスイッチ群であった.ADA開始1年の時点でCRP,ESR,MMP-3はナイーブ群・スイッチ群とも前値より有意に改善したが,改善の度合いはナイーブ群が良かった.ADA継続率に関して,ナイーブ群(115例)およびインフリキシマブからの切り替え例(17例)は6ケ月後約80%が継続していたが,エタネルセプトからの切り替え例(17例)は38%,2剤以上生物学的製剤を処方後の切り替え例(8例)は62%であり,ADA継続率はナイーブ群がスイッチ群に較べて良好であった.⑵159例中108例(67.9%)はADA/MTX併用群,51例(32.1%)はADA単独投与群であった.全経過を通じ,DAS28/CRP4は両群とも前値より有意に改善したが,MTX併用群はCRPが3~9カ月後ADA単独群に比べ有意に低下した.⑶159例中ADA開始後1年を経過した46例のうち14例(30.4%)は,手レントゲン写真で評価したHeijde変法シャープスコアが悪化しなかった.同様に46例中39例について年間関節破壊進行度(ΔTSS)を評価したところ,ADAは関節破壊を有意に抑制した.
結語:ADAはナイーブ群で有効性と継続率が高く,その効果はMTX併用によって増強された.また,ADAは関節破壊を抑制することが示された.

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© 2011 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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