目的:Churg-Strauss症候群(CSS)に伴う臓器障害は多彩で,皮膚や神経だけでなく,ときに心臓,肺,腎臓,消化管なども障害される.また,病理組織においては,好酸球浸潤を伴う壊死性血管炎や血管外肉芽腫の存在が特徴的とされている.そこで,当科で経験したCSS12例の臓器障害を含めた臨床的特徴と,得られた病理所見について検討した.
対象・方法:当科外来通院歴のあるCSS12例を対象とし,臨床病理学特徴を後方視的に検討した.
結果:
①患者背景
男性5例,女性7例,平均発症年齢は51.8歳,ANCA陽性は7例(58%)であった.
②臓器障害
全例で気管支喘息と多発単神経炎を認め,皮膚病変9例(75%),副鼻腔炎8例(67%),心病変5例(41%),肺病変5例(41%),感覚器病変4例(33%),中枢神経病変2例(17%),消化器病変と腎病変は1例ずつ(8.3%)であった.ANCAの陽性例で皮膚病変が有意に多く,陰性例で心病変と肺病変が多い傾向を認めた.
③病理学的検討
皮膚生検(6例)では全例で好酸球浸潤を認めたが,壊死性血管炎と血管外肉芽腫は1例ずつであった.また,神経生検(4例)では,血管炎や血管外肉芽腫の所見はみられなかった.
結論:当科におけるCSS12例の検討でも多彩な臓器障害がみられ,ANCA陽性例では皮膚病変が多かった.しかし,特徴的とされる病理像が得られた症例は稀であった.
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