臨床リウマチ
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総説
関節リウマチに伴う肺障害対策
槇野 茂樹
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2011 年 23 巻 4 号 p. 255-260

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抄録

   RAに伴う肺病変は,RAそのもの,RAの合併病態によるもの,薬剤性,感染性,偶発性などがあり,胸膜,気道,肺実質,肺間質,腫瘤/結節,肺血管などを冒し多彩である.
   気道病変は,ろ胞性細気管支炎,閉塞性細気管支炎があり,薬剤性や感染性もある.
   実質性病変は感染性肺炎が主体である.一般細菌性肺炎,肺結核,肺真菌症,ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウィルス肺炎などがある.RA治療薬の抗TNF-α剤では肺結核,非結核性抗酸菌症が問題になる.
   腫瘤/結節性病変では,リウマトイド結節があり腫瘍との鑑別が問題となる.
   RAの間質性肺炎の合併は約5%で男性に多い.COP,DAD,UIP,NSIPの4病型が見られる.慢性型ではNSIPよりUIPの方が多くUIPは男性,かつ喫煙者に多いようである.
   RA治療薬は薬剤性肺炎を起こしやすく,金剤,MTX,レフルノミドなどで頻度が高いが他の製剤でも起こる.DAD様,COP様など種々のタイプの薬剤性肺炎がみられるが,1つの薬剤で多くのパターンが見られる.
   RAに伴う肺病変に対する対応では,治療前スクリーニング,RAに伴う肺病変の管理・治療,治療中の新規肺病変への対応,肺病変を有する患者へのRA治療の対応の4つの局面があり,肺病変の知識を集める,胸部X線を必ずチェックする,呼吸器内科医への相談ルートを確保することが必要と考える.

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© 2011 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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