臨床リウマチ
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原著
関節リウマチ患者におけるインフリキシマブの効果と抗CCP抗体の関連について
小早川 知範平野 裕司大石 幸由
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2011 年 23 巻 4 号 p. 279-284

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抄録
目的:現在,抗Tumor necrosis factor(TNF)療法が関節リウマチ(RA)の治療に広く行われているが,その治療効果予測因子として明確な指標はない.抗シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)は,2008年のAmerican College of Rheumatology(ACR)のrecommendationにて予後不良因子の一つであると示されたが,生物学的製剤の治療予測因子となりうる可能性もある.そこで我々はinfliximab(IFX)の治療効果と抗CCP抗体との関連について検討した.
方法:対象は2006年9月~2010年4月にIFXを投与したRA患者64例のうち抗CCP抗体値をIFXの開始前後に測定した38例を対象とした.IFX開始時の抗CCP抗体値が100U/ml未満をA群:18例,100U/ml以上をB群:20例とした.Disease activity score in 28 joints(DAS28)とそのcomponent,血清Matrix metalloproteinase(MMP)-3値,薬剤投与継続率を両群間で比較した.さらに,IFXの効果と抗CCP抗体値との関連を調査した.
結果:C-reactive protein(CRP)値に関しては,0週時,6週時,22週時においてA群がB群と比べ有意に低値だったが,他の項目では両群間に有意差を認めなかった.また,0週時と22週時の比較では,A群はMMP-3値以外の全ての項目が有意に低下したが,B群では,圧痛関節数,腫脹関節数,赤沈1時間値,MMP-3値は有意な低下を認めなかった.また,IFXの反応性と抗CCP抗体値の変化量では,治療反応群(good response+moderate response in EULAR criteria)は0週時と最終観察時の抗CCP値を比較すると有意に低下したが,治療非反応群(no response)は,抗CCP抗体値の有意な低下を認めなかった.
結論:抗CCP抗体値100U/ml以上の群は100U/ml未満の群と比較するとIFXの治療反応性が悪い可能性が示唆され,抗CCP抗体値は治療反応群では有意に低下した.よって,抗CCP抗体値は抗TNF製剤の効果予測因子となる可能性も示唆された.
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© 2011 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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