抄録
症例は66歳の男性.200X年10月気管支喘息で,高用量吸入ステロイド/長時間作用型β₂刺激薬の配合薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン薬および経口プレドニゾロン(PSL)(5mg/日の連日投与)併用療法が行われていた.200X+3年2月コントロール不良に伴う治療ステップの増強および血清ミエロペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体(145IU/ml)高値が認められ,潜在性Churg-Strauss syndrome(CSS)を考慮し,PSL 50mg/日(0.75mg/kg/日)に増量した.200X+4年4月PSLを5mg/日まで減量した際に,多発単神経炎および筋炎などの血管炎を疑わせる症状が出現したため,CSSの診断基準を満たし,確定診断が得られた.血管炎症状の出現に先行してMPO-ANCA高値が認められた点で,貴重な症例と考えられた.