抄録
リウマチ性多発筋痛症と高齢発症関節リウマチは,しばしば類似の症状所見から発症し,ACPA が陰性の場合などは鑑別が非常に困難となる.2012年にACR/EULAR よりリウマチ性多発筋痛症暫定分類基準が報告されたが,依然としてこれら疾患の鑑別の難度は変わらない.特別な画像検査を用いず,一般の臨床現場で両疾患の鑑別を行っていく際の鑑別点として,末梢関節炎の存在とその分布パターンなどの有用性が指摘されている.両疾患の診断鑑別の流れとして,まず高齢発症関節リウマチが優先され,次にリウマチ性多発筋痛症の診断鑑別を行う.リウマチ性多発筋痛症と診断し治療開始後も,一部で関節リウマチへ移行する症例も存在するため,臨床像の変化などに注意しながら,定期的に診断を見直していくことが重要である.