臨床リウマチ
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誌上ワークショップ 膠原病の新規治療
ベーチェット病の神経病変
廣畑 俊成
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2015 年 27 巻 4 号 p. 288-295

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抄録

   神経ベーチェット病は急性型と慢性進行型の2つに分類される.急性型は急性ないし亜急性に発症した髄膜脳炎の形をとり,髄液の細胞数が著明に上昇し,時にMRIのフレア画像で高信号域を認める.一方,慢性進行型では,認知症様の精神神経症状や失調性歩行が徐々に進行し,患者はついには廃人同様になってしまう.この病型では,髄液中のIL-6が持続的に異常高値を示すとともにMRIでは脳幹部の萎縮を認める.稀に両者が合併することもあることから(acute on chronic),両者の病態生理が異なることがわかる.慢性進行型の発症に先立って急性型の発作を起こしている場合が少なくないことから,急性型の発作がおさまった段階で,一度髄液IL-6をチェックしておくことが推奨される.シクロスポリンを投与している患者の約20%に急性の炎症性神経病変を生じるが,これは急性型神経ベーチェット病と同一であると考えられる.慢性進行型では,男性,喫煙,HLA-B51の頻度が高い.
   急性型の発作急性期の治療の中心はステロイドである.急性型の発作予防には,コルヒチンの有用性が示唆されている.シクロスポリンによって誘発された急性型ではシクロスポチンの中止でほぼ完全に再発は抑制される.一方,慢性進行型ではまずメトトレキサートによる治療を行うべきであり,効果不十分な場合は,なるべく早くインフリキシマブの追加併用を行う必要がある.ステロイドの大量療法やアザチオプリン/シクロフォスファミドは無効である.

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© 2015 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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