関節リウマチ(RA)は二次性骨粗鬆症の主たる原因疾患の一つであり,高率に骨粗鬆症を合併する.発症部位により全身性と傍関節性の骨粗鬆症とに大別される.早期では,手関節近傍の榛骨遠位端の海綿骨部と踵骨の音響的骨評価値(OSI)低下が有意に見られた.RA患者の4%部の榛骨海綿骨部分とRA炎症マーカーである血清CRP,ESR,およびRFとの間には負の相関が認められたが,踵骨OSIはそれら炎症マーカーとは相関せず,M-HAQとの間に負の相関傾向を認めた.したがって,傍関節性骨粗鬆症は関節炎症に伴う炎症性サイトカインによる海綿骨骨粗鬆症として,一方,荷重骨では身体活動性低下に伴う骨粗鬆症として位置づけられることが確認された.RA患者では,筋肉量の減少とともに躯幹部の脂肪量が増加しており,この脂肪量増加と動脈壁硬化度の進展が関連していた.
さらに,RA患者の腰椎骨密度では有意な低下は見られなかったものの,ステロイド服用患者で有意な低下が見られ,RA患者の骨粗鬆症は部位によってステロイドの影響を受けていることが明らかとなった.
活動性RA患者の血清骨代謝マーカーは一般的に上昇している.これは存真の骨代謝回転を表すとは限らず,炎症局所の傍関節部の骨破壊を示していることが,関節液と血清の骨代謝マーカー(DPD,PYD)同時測定による両者間のぞれぞれの濃度の正相関で明らかとなった.また,関節液中の骨吸収マーカー濃度は,炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6)濃度との正相関で明らかとなった.
現在,骨量喪失と動脈硬化進展は密接な関係を示し,骨血管相関として提唱されている.我々は,骨吸収時に骨から放出されるリンが動脈硬化を進展させる主たる因子として提唱してきた.RA患者でも横断研究で骨密度や関節破壊が,縦断研究でも骨吸収速度が動脈硬化進展と独立した因子であることを明らかにし報告した.
RAに伴う骨代謝異常は,骨関節破壊,骨折率上昇にとどまらず,動脈硬化進展など多岐にわたって患者のQOLや生命予後悪化に寄与している.
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