臨床リウマチ
Online ISSN : 2189-0595
Print ISSN : 0914-8760
ISSN-L : 0914-8760
誌上ワークショップ 生物学的製剤時代におけるリウマチ外科の新しい流れ
RA上肢手術の新しい流れ:手について
中川 夏子
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 28 巻 3 号 p. 232-239

詳細
抄録

はじめに:関節リウマチ(RA)の薬物治療の進歩による関節破壊抑制効果への期待から,RA大関節荷重関節の人工関節等は減少するとされる一方,手関節・手指関節等の小関節手術は増加するとの報告もある.今回RA上肢手術の新しい流れにおいて,特に手の手術について考察する.
手関節手術:RA手関節炎の放置は関節破壊進行につながり,保存的治療に抵抗する場合は手術を考慮する.RA治療の進歩が顕著な今日では軽度の関節破壊症例に対する手術である滑膜切除術(関節鏡使用を含む)が重要となる.関節破壊進行症例では,その状況によりSauvé-Kapandji法併用や,部分固定術・全固定術の適応を検討するが,新しい流れとしては関節の可動性や機能の温存・改善が大切になる.
手指関節手術:滑膜切除術に関しては手関節同様,変形出現前のアプローチが必要であり,関節温存も新しい流れである.RAの特徴的な手指変形については,原因を把握し,状況により手術方法を考慮する.本人の希望に沿った治療方針が重要で,機能のみならず外観改善にもこだわる手術が新しい流れの一つである.高度変形も手術で改善されうることを説明していくことが求められる.手指人工関節も発展の可能性がある.術後はリハビリ装具の工夫などをふくめ細やかな指導・配慮が必要となり,これにも新しい流れがある.
結論:RA手の手術の新しい流れについて概説した.今後もRA手の外科は発展を遂げると思われ,重要で期待の持てる分野である.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
前の記事
feedback
Top