2017 年 29 巻 3 号 p. 205-210
乾癬性関節炎(PsA)におけるリウマチ症状は多彩であり,その一つに体軸関節病変がある.合併頻度は報告により様々であるが,少なくともPsAの25%に認められると考えられる.PsAの体軸関節病変は,強直性脊椎炎(AS)と比べて頸部痛や背部痛が少なく,脊椎の関節可動域は保たれており,末梢関節病変が多い.骨エックス線の重症度はASに比べ低い.しかし患者のQOLはASと同程度に低いことが示唆されている.またPsAの体軸関節病変の中に,炎症性腰痛を訴えない無症候性の存在が報告されており,注意が必要である.PsAの体軸関節病変の治療はまずNSAIDを使用し,効果不十分のときには生物学的製剤を考慮する.GRAPPAによる治療推奨や欧州リウマチ学会による治療推奨においてもTNF阻害薬が第一選択薬となっている.