2019 年 31 巻 3 号 p. 239-245
リウマチ性疾患において人々がつながろうとするとき,病気が慢性性(chronicity)に経過することの特性とその慢性性のなかで毎日の生活を営み続ける‘生活者’としてとらえ,思索することが重要となる.「自分の中にある過去や経験をつきつめ,自分にとってそれがもつ意味を問うことにより思想を形成していく」(天野)のが「生活者」であるとすれば,生活者はそれぞれが個々の‘過去’と‘経験’をもっていることになり,それらは今の考え方や生き方につながり,そこから差異性と独自性が生まれる.そして,この差異性と独自性は,ケアを考えるときに‘その人らしさ’としてこれまで探究してきた貴重なテーマと繋がっていくのである.
‘生活者’の概念を出発点として,クロニックイルネスのある生活について考えると,病いと疾患の違い,急性と慢性のそれぞれの特性,およびケアのパラダイムシフトの必要性が見えてくる.さらに,クロニックイルネスとして関節リウマチに伴う‘生きられた体験lived experience’の重要な意味を考えることができる.