2019 年 31 巻 4 号 p. 271-274
関節リウマチ(RA)の滑膜炎は,滑膜表層部にある毛細血管周囲へのCD3陽性T細胞の浸潤から始まる.RA滑膜炎の組織学的特徴として多数の形質細胞浸潤,リンパ濾胞形成などが挙げられるが,これらは変形性関節症(OA)を含め慢性化した滑膜炎で認められる所見である.RA滑膜炎にのみ認められる所見(RA特異的な炎症所見)は明らかではなく,組織学的所見のみでのOAとの鑑別は困難である.RA特異的な組織所見を敢えて挙げるとすれば,滑膜下結合織での多彩な線維芽細胞の増殖で,RA病変形成に寄与する炎症性サイトカイン(IL-1, TNFα等)で活性化された結果と考えられる.また,RA滑膜での炎症細胞の多寡はRA罹患関節の骨破壊とは相関しない.骨破壊を担うのはパンヌスであり,増殖滑膜でのリンパ球,形質細胞浸潤の程度はパンヌス形成の程度とは必ずしも相関しない.従って,滑膜炎表層部の炎症細胞浸潤の程度から骨破壊性を評価することは困難である.最近の生物学的製剤による治療によりRA滑膜炎は劇的に改善されるようになった.各種製剤に認められる共通した効果としては,滑膜細胞の多層化の軽減やリンパ球・形質細胞浸潤の減少に加えて,線維化の進行がある.生物学的製剤の劇的な効果が示すことは,標的となる炎症性サイトカインのRA病変形成における重要性であり,サイトカインの影響を反映する組織学的所見に注目することが大切であろう.