2019 年 31 巻 4 号 p. 328-335
目的:高齢関節リウマチ(RA)患者は,身体的・社会的な問題を抱えており,チーム医療が重要と考えられるが確立された手段はない.今回我々は,チーム医療を円滑に進める上で,患者の身体機能・精神状態・認知度を把握するために当院オリジナルの問診票に加えて高齢者総合機能評価簡易版(Comprehensive Geriatric Assessment7, CGA7)による評価を行い看護診断し,チーム医療を行ったので,報告する.
対象・方法:RAで当院に初回入院した患者で協力を得られた9症例(73~84歳,平均年齢82.2歳)を評価対象とした.入院時,看護師により当院オリジナルのRA問診票を聴取し,加えてCGA7による評価を行った.評価により身体機能と認知機能に問題がないグループⅠ(GⅠ),認知機能に問題はないが身体機能の低下があるグループⅡ(GⅡ),認知機能低下及び自己管理能力や身体機能低下に問題があるグループⅢ(GⅢ)に患者を分類し,チーム医療を行った.
結果:GⅠが2症例,GⅡが5症例,GⅢが2症例であり,GⅠには一般的な患者指導を行った.GⅡには,身体機能の回復のため,リハビリ指導と転倒予防の生活環境整備指導を行った.GⅢは,医師による内服薬の見直し,家族を含めた薬剤師による内服管理指導,栄養士による栄養指導を行った.
考察:入院する高齢RA患者に対し,RA問診票とCGA7を使用して看護診断し,個々の症例に合わせて入院中のチーム医療と入院後の指導を行う事は適切な患者の評価と円滑なチーム医療遂行に有用であると思われる.