臨床リウマチ
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特集 RA発症前の病態解析の進歩
RA発症前の病態解析 ─オーバービュー─
川上 純
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2022 年 34 巻 1 号 p. 34-37

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抄録

 欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism: EULAR)はRA発症前の状況を,①“遺伝要因リスクと環境要因リスクはあるが,検査値異常や炎症性関節炎の症状や所見がない”,②“ACPAやリウマトイド因子などの検査値異常はあるが,炎症性関節炎の症状や所見がない”,③“関節痛や朝のこわばりなど炎症性関節炎の症状はあるが,臨床的および画像的に滑膜炎がない”,④“画像的に滑膜炎はあるが,臨床的に明らかな関節炎がない”,⑤“臨床的に明らかな関節炎があるが,RAの分類基準を満たしていない”のステップがあり,これらを“Pre-RA”,“Pre-clinical RA”,“Inflammatory arthralgia”,“Autoantibody-positive arthralgia”,“Undifferentiated arthritis”で表現することを提案している.RA治療における“window of opportunity”と“treat-to-target”を考えると,RA発症前の病態を出来るだけ正確に把握し,個々人における“RA発症リスク”を出来るだけ正確に予測することは,今後の(超)早期治療導入にも直結する極めて重要な研究テーマである.

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© 2022 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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