2025 年 37 巻 1 号 p. 9-16
リウマチ医療のパラダイムシフトと共に看護師の役割にも大きな変化が生じ,2012年,慢性炎症性関節炎の管理における看護師の役割についてのEULARリコメンデーションが提唱された.その後,チーム医療,エビデンスに基づくリウマチ看護,Shared decision- making(SDM)の3つの基本的な考え方が追加された2018年版が発表され,国内外でのリウマチ看護の指標となっている.8つの推奨事項では,包括的な疾患管理への参画や自己効力感の向上に向けての自己管理支援,ニーズに応じた患者ケアや患者満足度の向上,心理社会的支援など,全人的な人中心のケアが求められ,また看護師への継続的な専門教育の必要性も示されている.
一方,看護師の役割の実践には多くの課題がある.知識不足や医師とのコミュニケーションや連携不足,時間や人員不足,専門教育など体制の問題,特にインセンティブの問題は看護師の専門性を生かす上での障壁となっている.また,患者の“言いづらさ”などセルフスティグマを理解できないと患者の本音が引き出せずSDMは難しい.さらに患者は自己のアイデンティティを維持するために社会生活を制限する可能性があり,これらを理解しレジリエンスを涵養するうえでも看護師の役割は大きい.看護師がこれらの役割を実践する上で,継続的な専門教育やチーム医療の推進,支援体制の確立,体制や制度の整備,など周囲の理解と協力が必要である.