2025 年 37 巻 1 号 p. 17-25
関節リウマチ(RA)は,目標達成に向けた治療戦略であるTreat to Target(T2T)により早期から積極的に治療介入を行うことで,寛解の達成が可能となってきている.薬物治療は,メトトレキサート(MTX)を中心とした従来型抗リウマチ薬に加え,生物学的製剤やJAK阻害薬などの分子標的治療薬の飛躍的な進歩により選択肢も増えている.進歩した薬物治療は高い関節破壊抑制効果を示す一方で,効果減弱による再燃,感染症などの副作用により治療変更を余儀なくされることもある.また,患者の疾患や治療に対する理解不足,薬の副作用に対する不安,経済的問題などが,服薬アドヒアランスや自己注射実施率の低下,治療中断につながることもある.治療を継続し,その効果を最大限に得るためには,患者と医療者が協働的意思決定(Shared decision-making; SDM)に基づき,個々の患者に即した治療目標を共に決定し,最適な治療を進めることが重要である.看護師は,RA診療において多職種を繋ぐ役割がある.患者と良好なコミュニケーションを図ることで得られる様々な情報を多職種と共有することは,SDM実践において不可欠である.また,患者が治療を安全に継続していくためには,看護師もRA治療と個々の治療薬の特徴を十分に理解することが大切であり,専門的知識と技術を得ることで自己注射に伴うトラブルや副作用などに早急に対処することができる.さらに,患者自身の自己管理能力の向上も治療継続には不可欠であり,看護師は十分な知識と経験をもとに患者教育の一役を担うことが求められる.