臨床リウマチ
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総説
自己免疫疾患の病態アップデート
新納 宏昭
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2025 年 37 巻 4 号 p. 195-208

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抄録

 免疫系は自己と非自己を識別し外敵から生体を防御するが,その恒常性の破綻は自己免疫疾患の発症につながる.代表的な関節リウマチ(RA)と全身性エリテマトーデス(SLE)は,いずれも自己抗体の出現を特徴とするが,臨床像や標的抗原は異なりつつも,病態の根底には自然免疫と適応免疫の密接な相互作用が存在する.免疫寛容機構の破綻により自己反応性T・B細胞が温存され,RAでは関節滑膜においてTph細胞とB細胞が集積し,自己抗体産生や炎症性サイトカイン放出を介して滑膜炎と骨破壊を進展させる.一方SLEでは,自己核酸を標的としたTLR7/9やBAFFシグナルが重要であり,自己反応性B細胞はT-bet+B細胞や形質細胞へ分化し,多彩な自己抗体産生を介して臓器障害を惹起する.さらにpDCや好中球を介したⅠ型IFNやNETosisの関与も明らかとなっている.近年のシングルセル解析や空間免疫学的解析により,疾患特異的サブセットの同定や病態多様性の理解が進展した.治療面では,RAにおけるTNF・IL-6阻害薬やJAK阻害薬,SLEにおけるBAFF阻害薬や抗IFN受容体抗体に加え,CAR-T療法や二重特異性抗体など新規B細胞標的治療が臨床応用段階にある.

 本稿では,免疫寛容の破綻を軸にRAとSLEの分子病態を概説し,最新知見と今後の治療展望を概説する.

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© 2025 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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