臨床リウマチ
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総説
全身性血管炎の骨格筋障害
下島 恭弘
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2025 年 37 巻 4 号 p. 209-216

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抄録

 全身性血管炎は血管壁の炎症を病態背景として,様々な臓器に虚血性および炎症性の障害を生じる自己免疫疾患である.筋痛は全身性血管炎の疾患活動性評価に用いられているが,骨格筋は診断に結びつく障害の部位としても認識する必要がある.結節性多発動脈炎(PAN)や抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎では,筋痛を初発症状とすることも多い.骨格筋症状は上肢に比べて下肢に出現する頻度が高く,特に腓腹筋の筋痛は血管炎に生じる骨格筋障害の特徴でもある.炎症性筋炎と比べて筋線維の障害が軽微であることから,血液検査ではクレアチンキナーゼの値が上昇ことは少ない.他の症候が出現する前に筋生検で血管炎の病理学的診断が確定できれば,迅速な治療の導入とともに予後の改善が期待できる.筋MRIの脂肪抑制画像もしくはT2強調画像では罹患筋が高信号病変として描出され,骨格筋障害のスクリーニングとして有用であるとともに,筋生検部位を決定するのにも役立つ.血管炎による骨格筋障害のグルココルチコイド(GC)治療反応性は良好だが,GCの減量にともない骨格筋障害も再発することが多いため,疾患の治療戦略に基づいた免疫抑制薬の併用が求められる.PANやANCA関連血管炎以外の血管炎でも発症早期から骨格筋障害を生じることがあり,全身性血管炎の早期診断および予後改善を目指す診療において,筋症状に注目することは重要である.

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© 2025 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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