抄録
ポーラスコンクリート(以下:PoC)の凍害劣化メカニズムを検討するために,一般的なJIS A 1148 A/B法とともにRILEM CIF/CDF法を実施し,スケーリングと凍結融解作用下での吸水挙動がPoCの耐凍害性に与える影響を詳しく検討した。PoCの吸水挙動は常温下と凍結融解作用下に分けて考えることができ,凍結融解作用下での吸水量が小さいほどスケーリング抵抗性が高いことが明らかとなった。また,普通コンクリートと同様にAE剤の使用がPoCのスケーリング抵抗性を向上させることが確認された。さらに,寒冷地で10年間供用されたPoCの劣化程度は,再現供試体におけるCDF法の凍結融解40サイクル程度の凍害損傷によく対応していた。本研究の範囲内では,スケーリング量が300g/m2を超えた場合に,相対動弾性係数および曲げ強度比の急激な低下が認められた。PoCのスケーリング抵抗性は耐凍害性に与える影響が大きく,PoCの耐凍害性評価の指標となり得ることが明らかとなった。