本研究では,日射および降雨がコンクリートの収縮,収縮ひび割れに与える影響の抽出を目的に系統的な実験を行った。環境作用の条件が異なる3ヶ所の屋外環境に供試体を暴露し,水分逸散,収縮,収縮ひび割れについて計測した。その結果,降雨浸透によってコンクリートの乾燥,収縮は大きく抑制され,収縮ひび割れ発生も低減した。日射は,内部水分の逸散を促進するものの,収縮を大きく増大させることはなかった。一方で,コンクリートの収縮ひずみが概ね等しい場合でも,乾燥を促進する日射の有無によって表面の収縮ひび割れ発生には顕著な差が現れることが分かった。以上のことから,境界条件に応じた適切な劣化予測を行うためには,これらの環境作用に留意する必要があることが分かった。