コンクリート工学論文集
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21 巻, 2 号
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  • 天野 佑樹, 上原 匠, 梅原 秀哲, 武長 祐樹
    2010 年 21 巻 2 号 p. 2_1-2_11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    多孔質材料である三州瓦廃材(規格外品)のコンクリートへの有効利用の上で課題となる,耐凍害性と施工性の両立(確保)に対して,新たに表面噴霧法を考案した。表面噴霧法とは,気乾状態の廃瓦粗骨材に対して,練混ぜ直前に,攪拌しながら,その質量の一定割合の水を骨材表面に噴霧してから練混ぜに用いる方法である。実験を基に,簡便性,施工性,強度特性,耐凍害性および乾燥収縮特性の観点から,通常骨材と同等の多孔質材料を用いたコンクリートが製造可能であることを明らかにした。また,実験結果から得られた知見を基に,廃瓦粗骨材の水分変動に着目して,コンクリート中の水分量および分布が,耐凍害性および乾燥収縮特性に及ぼす影響を考察した。
  • 山本 武志, 広永 道彦
    2010 年 21 巻 2 号 p. 2_13-2_23
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    溶脱変質の進行に伴い,セメント硬化体に含まれるポルトランダイト(CH)の消失に続きC-S-H相のCa/Si比の低下が生じる。セメントの種類によりCH変質フロント進行速度およびC-S-H相のCa/Si比の低下速度は異なるが,いずれの場合でもC-S-H相のCa/Si比の低下はSiの連結度を高め,29Si-NMR分析により鎖端(Q1)に対する鎖中(Q2)の存在割合が高まることを確認した。また,Ca/Si比が1.0程度にまで低下するとSiの連結度がさらに高まり,鎖の分岐を表すQ3シグナルが発現することを明らかにした。C-S-H相の溶脱変質の進行に伴い,C-S-Hの構成単位と考えられる粒径10~30nmの粒状体が縮小するため,C-S-H相内に微小な空隙が多く形成される。
  • 栗原 貢介, 辻 幸和, 李 春鶴, 郭 度連
    2010 年 21 巻 2 号 p. 2_25-2_33
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    ネット状連続繊維補強材(以下,連続繊維と略称する)を配置したRCはり供試体を作製し,連続繊維の配置形状,配置枚数およびコンクリートの強度を要因にとり実験を行った。その結果,配置形状は,かぶり内に深く分布することでひび割れ発生荷重は増加するが,降伏荷重および最大荷重は連続繊維の破断が先行するため低下すること,曲げひび割れ幅への影響は小さいことが認められた。配置枚数による影響は,連続繊維を3枚配置することで,連続繊維による引張力の負担分が増して,ひび割れを分散させ,曲げひび割れ幅を効率的に抑制させることが確かめられた。また,積層モデルの断面解析プログラムにより,ネット状連続繊維補強材を併用したはりの曲げひび割れ幅を算出できることが確認された。
  • 浅本 晋吾, 大塚 歩, 三浦 千佳子, 桑原 勇太
    2010 年 21 巻 2 号 p. 2_35-2_43
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,日射および降雨がコンクリートの収縮,収縮ひび割れに与える影響の抽出を目的に系統的な実験を行った。環境作用の条件が異なる3ヶ所の屋外環境に供試体を暴露し,水分逸散,収縮,収縮ひび割れについて計測した。その結果,降雨浸透によってコンクリートの乾燥,収縮は大きく抑制され,収縮ひび割れ発生も低減した。日射は,内部水分の逸散を促進するものの,収縮を大きく増大させることはなかった。一方で,コンクリートの収縮ひずみが概ね等しい場合でも,乾燥を促進する日射の有無によって表面の収縮ひび割れ発生には顕著な差が現れることが分かった。以上のことから,境界条件に応じた適切な劣化予測を行うためには,これらの環境作用に留意する必要があることが分かった。
  • 権代 由範, 月永 洋一, 庄谷 征美, 阿波 稔
    2010 年 21 巻 2 号 p. 2_45-2_56
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    我が国では,塩化物環境下におけるスケーリング抵抗性の評価試験法として,海外規格であるASTM C672法やRILEM CDF法の実施例が多い。しかし,いずれの方法も凍結融解作用を機械的に再現するための大型設備を要することから,これらの設備を所有する限られた機関でしか実施されていないという現状にある。本研究では,ASTM C672法およびRILEM CDF法を対象として,一般に市販されている冷凍庫を用いたスケーリング抵抗性試験の簡易化を試みた。本簡易法により得られるスケーリングの発生性状や塩化物イオンの浸透性状,並びに凍結融解に伴う歪み変化などを明らかにし,規格試験法による結果との比較から,簡易試験法としての有用性を示した。
  • 水越 睦視, 梅本 忠彦, 下村 匠
    2010 年 21 巻 2 号 p. 2_57-2_67
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/22
    ジャーナル フリー
    軽量コンクリート1種の高性能化を考え,高強度·高弾性·低収縮性および優れた施工性を付与する手法を配合試験により決定し,得られた高性能軽量骨材コンクリートのRC部材への適用性について,RCはりの曲げ載荷試験により検討した。W/C=30%に低減し,鋼繊維を1.0vol.%混入することにより,材齢28日で65N/mm2の圧縮強度,28.5kN/mm2の静弾性係数が得られることがわかった。さらに,人工軽量骨材の使用により自己収縮を大幅に低減でき,高流動化することにより自己充てん性を付与できることも確認した。また,この高性能軽量骨材コンクリートをRC部材に適用すると,普通骨材コンクリートを使用した場合よりもひび割れが分散し,曲げ耐力も向上することを明らかにした。
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