溶脱変質の進行に伴い,セメント硬化体に含まれるポルトランダイト(CH)の消失に続きC-S-H相のCa/Si比の低下が生じる。セメントの種類によりCH変質フロント進行速度およびC-S-H相のCa/Si比の低下速度は異なるが,いずれの場合でもC-S-H相のCa/Si比の低下はSiの連結度を高め,
29Si-NMR分析により鎖端(Q
1)に対する鎖中(Q
2)の存在割合が高まることを確認した。また,Ca/Si比が1.0程度にまで低下するとSiの連結度がさらに高まり,鎖の分岐を表すQ
3シグナルが発現することを明らかにした。C-S-H相の溶脱変質の進行に伴い,C-S-Hの構成単位と考えられる粒径10~30nmの粒状体が縮小するため,C-S-H相内に微小な空隙が多く形成される。
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