抄録
本研究では,放射性セシウムによって汚染された土砂を体積線源として用いて,密度4.57g/cm3を有する高密度コンクリート容器のγ線遮蔽性能を,遮蔽実験及び遮蔽解析により評価した。遮蔽実験より壁厚100mmの円筒形を有する高密度コンクリート容器は,汚染土から放出される放射線量を90%以上低減できることを実証した。更に,遮蔽実験においてコンクリート容器によるバックグラウンドからの放射線の遮蔽を適切に考慮することで,遮蔽解析により実験結果を高い精度で模擬できることを示した。また遮蔽解析を通じて,遮蔽設計で利用されることが多い点線源に対する遮蔽率と,体積線源に対する遮蔽率の違いが,数十%と非常に大きな値になることを例示した。