抄録
骨材と微生物によって分解可能な樹脂からなる生分解性樹脂コンクリートを,矢板や杭材などの仮設資材に適用することを考案し,土中埋設した場合の,曲げ強度,圧縮強度の経時変化を検討した。その結果,埋設期間の経過にともない生分解性樹脂コンクリートの曲げ強度と圧縮強度が低下することが明らかとなった。曲げ強度の低下は,ポーラスコンクリートの空隙率と圧縮強度の関係に類似することから,分解による空隙の増加が示唆された。また,曲げ試験後の破断面では,骨材が樹脂から抜け落ちている状況が観察され,生分解性樹脂コンクリートの劣化が,微生物による樹脂の分解と,加水分解による骨材と樹脂の付着強度低下に起因することが明らかとなった。