2021 年 32 巻 p. 49-57
本研究は,電気的インピーダンスおよび位相角の変化を基に,繊維強化ポリマー(FRP)シートで覆われたコンクリート表面近傍にあるひび割れを検出する技術開発を目的としている。基礎的実験として,表面直下に人工ひび割れを設けたコンクリート立方体をFRPシートで被覆した試験体を用いた。本研究の試験では,1kHzから8MHzまでの交流電圧を試験体に負荷させた状態におけるインピーダンスおよび位相角の周波数特性を調べた。インピーダンスおよび位相角の測定には,人工ひび割れの真上位置,左位置と右位置で2電極端子を有するプローブを用いた。この実験結果から,3MHz~4MHz付近でのインピーダンス極大値と試験体の性状が容量性から誘導性に相変化する時の周波数を測定することで,FRPシートで覆われた上からコンクリートのひび割れを検出できる可能性を示した。