Crustacean Research
Online ISSN : 2189-5317
Print ISSN : 0287-3478
ISSN-L : 0287-3478
ニュージーランド南鳥海岸におけるCyclograpsus lavauxi H. Milne Edwards, 1853(イワガニ科)の潮間帯成帯構造
C. L. McLayD. J. McQueen
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 24 巻 p. 49-64

詳細
抄録

ニュージーランド南島の岩礁潮間帯には6種のカニ(カニダマシを含む)が生息する(Petrolisthes elongatus, Heterozius rotundifrons,Hemigrapsus edwardsii, H. crenulatus, Cyclograpsus lavauxi, Helice crassa).これらのうち,イワガニ科のC.lavauxは最も個体数の多い汎布種である.その潮間帯での分布はMSLの5cm以内から上部へ150cmまで均一であった.最高密度は開放海岸の陰の岩場にみられた.主たる潜在競争者のH.edwardsiは,MSL上部0-100cmの間でC.lavauxiとオーバーラップした.潤化管内容物の調査では,これら両種ともほとんどが同一の褐藻類を摂食していた.タイドタンク実験によると,両種の成帯構造はおもに露出時間に関係が深かった.H.edwardsiの生息しないところでは,C.lavauxiの分布下限については変化がなかった.本研究の結果は, Griffin(1971)の仮説通り,種間相互作用は,もしあったとしても,これらイワガニ類の潮間帯での分布を決定する上では重要ではないことを示す.

著者関連情報
© 1995 日本甲殻類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top