抄録
ニュージーランド,Kaikouraの潮間帯に棲息するEurynolambrus australisの胃内容物は,サンゴモ(Corallina officinalis)が最も主要な構成食物で,観察個体の94.6% (餌の55.0%)に出現した.他には,紅藻,緑藻,褐藻類,それに等脚類,端脚類,十脚頬もよく食べられていた.雌雄および採集場所の違う個体間の食物組成には違いは認められなかった.成長段階による食物組成には違いがあり,大型個体は十脚類,腹足類,サンゴモ,褐藻をより多く摂餌していたが,小〜中型個体は端脚類を多く食べていた.胃内容物のうち動物質の多くがサンゴモ内にみられるものであり,このカニが,擬態を容易にする色素源にもなるサンゴモを食べるように特化していることを示している.