Crustacean Research
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25 巻
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 小林 哲, 松浦 修平
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 1-6
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    モクズガニEriocheir japonicaの未成体期(甲幅40mm未満)における鉗脚の相対成長を,飼育条件下で明らかにした.甲幅と鉗脚長節高の関係により,雌雄とも甲幅11mm付近の変曲点により分けられる2つのPhaseの存在が示された.回帰直線には雌雄ともphase間に有意差が認められ,また第1Phaseに有意な雌雄差が無いのに対し第2Phaseでは雌雄差が認められた.さらに,より大型個体での結果を加えることで,モクズガニの全サイズにわたる鉗脚の相対成長様式を推定した.雌雄差の無い1つのPhaseのあとに,雌雄差の拡大するPhaseが,さらに雄では3つ,雌では2つのPhaseに分かれて続くことが明らかになった.
  • Stephen Keable
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 7-15
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    等脚目Cirolanidae科モモブトスナホリムシ属Natatolanaは日本近海から3種が報告されている.そのうちの2種,Natatolana japonensis(Richardson,1904)を正模式標本に基づき詳細な図とともに再記載し,アリソモモブトスナホリムシNatatolana miyamotoi Nunomura,1991を副模式標本に基づき図示した.この2種の模式標本を詳細に検討した結果,種レベルの標徴に差は認められず,アリソモモブトスナホリムシN.miyamotoiはN.japonensisのジュニア・シノニムであることが明らかとなった.よって,日本近海に分布するモモブトスナホリムシ属Natatolanaは2種となった.
  • 北浦 純, 和田 恵次
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 16-24
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    砂泥性潮間帯に造穴して生息するチゴガニにおいては,巣穴から掘り返した砂泥を少し離れた場所や巣穴口近辺に積み上げたり,巣穴近辺の砂泥を集めて巣穴口周囲に積み上げる行動が見られる.この砂泥性構築物,moundを巣穴口から離れて配置するのは,ほとんどが甲の堅い雄であったのに対して,巣穴口に接するように,または巣穴口を囲むように配置するのは,ほとんどが雌,特に抱卵雌や雌雄のつがいであった.また,moundを巣穴口に接するように積み上げていた雌は,moundのない雌に比べて地上活動時間が有意に短かったが,moundを巣穴口から離れて配置していた雄の地上活動時間は,moundのない雄のそれと変わりなかった.大量の雨が降り,地上活動の低下した日には,巣穴口に接して造られるmoundをもつ巣穴の割合が増加した.moundを巣穴口から離れた場所に配置させるか,巣穴口に積み上げるかは,地上活動の活発性に依存しているようである.
  • 花村 幸生, 長崎 慶三
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 25-33
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    日本および隣接海域より得られArchaeomysis属アミ類はしばしば体表面に線毛目繊毛虫の寄生を受けていた.北西太平洋の各地から採集した標本を基に,この繊毛虫の寄生の状況を調べた.調査した4種のArchaeomysis(Archaeomysis sp., A.kokuboi, A.vulgaris, A.japonica)はすべて繊毛虫の宿主であることが確認された.ただし,寄生率は種間で差が認められ上記4種の寄生率はそれぞれ74.2,75.6,22.3および1.2%であって,北方性の種で高い寄生率を示した.また,同一種内でも北方の個体群において寄生率が高くなる傾向にあった.このことから,線毛類の好寒梅性が示唆された.一方,潮間帯の種は亜潮間帯性の種に比べ明らかに寄生率が高かった.北海道ではArchaeomysisと線毛目繊毛虫の寄生関係は周年みられる現象であるが,この寄生によってアミ個体群が著しい減耗を引き起こすような深刻な影響を受けることは無いものと推察される.
  • Chris M. C. Woods, Colin L. McLay
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 34-43
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    ニュージーランド,Kaikouraの潮間帯に棲息するEurynolambrus australisの胃内容物は,サンゴモ(Corallina officinalis)が最も主要な構成食物で,観察個体の94.6% (餌の55.0%)に出現した.他には,紅藻,緑藻,褐藻類,それに等脚類,端脚類,十脚頬もよく食べられていた.雌雄および採集場所の違う個体間の食物組成には違いは認められなかった.成長段階による食物組成には違いがあり,大型個体は十脚類,腹足類,サンゴモ,褐藻をより多く摂餌していたが,小〜中型個体は端脚類を多く食べていた.胃内容物のうち動物質の多くがサンゴモ内にみられるものであり,このカニが,擬態を容易にする色素源にもなるサンゴモを食べるように特化していることを示している.
  • 和田 恵次, Byung Lae Choe, Joong Ki Park, Seung Shic Yum
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 44-53
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    韓国・江華島のある干潟の高潮帯において,チゴガニ属の2種,IlyoplaxpingiとI.dentimerosaの個体群構造と繁殖生態を調べた.生息密度は,概してI.pingi(平均238/m^2)の方が, I.dentimerosa(平均159/m^2)よりも高かった.抱卵雌は,I.pingiで5月または6月から8月まで出現し,抱卵率は,8月に最大となったが,I.dentimerosaでは,4月から8月まで出現し,このうち4月には,ほとんどの成体雌が抱卵するという極端に高い抱卵率を示した.椎ガニの新規加入はI.pingiでは9月から10月にかけて,I.dentimerosaでは5・6月に多く見られた.両種とも,雌は,生後1年で繁殖に参加することが推察された.1雌当たりの卵数はI.pingi(平均2192)の方が,I.dentimerosa(平均1136)よりも多く,反対に卵サイズは,I.dentimerosa(平均0.0248mm^3)の方がI.pingi(平均0.0112mm^3)よりも大きかった.ペアー形成は,両種とも,雌雄が同一の巣穴に入ることで行われた.ただしI.pingiでは,放浪雌が巣穴所有の雄の巣穴に入る場合が多かったが,I.dentimerosaでは,逆に巣穴所有雄が,一旦自分の巣穴から離れて近くの巣穴所有雌の巣穴に入る場合が多かった.
  • Pan-Wen Hsueh, Jung-Fu Huang
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 54-58
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    これまで基産地である和歌山でのみ分布が知られているフタバピンノPinnotheres bidentatus Sakaiが台湾中央の西部沿岸で記録されたので,背甲の色彩を示すために,カラー写真を添えて詳しく記載した.また,遊泳能力についても言及した.
  • 駒井 智幸
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 59-72
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    函館湾,和歌山および熊本県天草松島から採集された標本に基づき,ホンヤドカリ属の1新種pagurus nigrofasciaを記載した.本種は,北アメリカ西岸に分布するP.samuelis(Stimpson,1857),P.hirsutiusculus(Dana,851),P.venturensis Coffin,1957,および日本を含む西部北太平洋温帯域に分布するP.filholi De Man,1887(ホンヤドカリ)に近縁であると考えられるが,いくつかの形態的特徴と色彩により容易に識別される.本新種は函館湾では周年にわたり潮間帯岩礁で普通にみられるが,他の産地では冬から初春にかけて出現するのみである.また,これまでの本邦各地における調査にも関わらず,本新種が採集されたのは上記の3カ所だけであった.Stimpson(1858)が,函館湾からP.hirsutiusculusとして記録したものが実際には本新種であった可能性があるが,標本はシカゴ大火災の際に失われたものと考えられ,現在では確認できない.標本に基づいたP.hirsutiusculusの本邦における記録は,stimpson(1858)の他にはYokoya(1933)による津軽海峡の水深110mからの採集記録があるが,Yokoyaの標本は採集水深が探すぎ,P.hirsutiusculusとも本新種とも異なるものと考えられる.最近の文献においても,本邦におけるP.hirsutiusculusの分布は現在のところ確認されていない.文献の記録に基づき,P.hirsutiusculusにはエゾホンヤドカリという和名が与えられてきたが,エゾホンヤドカリの分類学的位置を決定するのは現時点では不可能であり,本新種には新称ヨモギホンヤドカリを提唱する.
  • Christopher C. Tudge, Barrie G. M. Jamieson
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 73-85
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    カニダマシ科の2種,Aliaporcellana suluensisおよびpisidia longicornisの精包と精子の微細構造について研究を行った.両種とも精包は有柄で球形から卵形で,瓶状体のなかに螺旋状になった少数の非常に長い精子を含んでいる.瓶状体は2分しており,それぞれが複雑な形の,肥厚した側面の隆起部で結合している.両種の精子には小さく複雑な先体がある.先体には穴のあいた蓋があり,核質が複雑な同心円状の構造をしている.これまで報告されている異尾類と比較すると,先体がこのように幾層にもなった層状構造を呈するのは,カニダマシ科の精子に固有の形質である.細長い精子は長い尾部を持っており,これも固有の特徴である微小管の中心部からなっている.この尾部の基部は細胞質に取り囲まれ,先端部分は核の鞘に取り囲まれている.微小管の中心部は,末端に向かって分かれ, 4本以上の外部微小管腕を作り出す.Aliaporcellanaとpisidiaにみられるほどんど鞭毛のように伸長した精子の形態は,これまで報告された十脚類のなかでも特異である.
  • 五嶋 聖治, 和田 哲, 大森 寛史
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 86-92
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    ごく最近,新種として記載されたヨモギホンヤドカリの分布と繁殖生態を,模式産地近くの函館湾葛登支の潮間帯において調べた.本種は潮間帯上部の潮線付近の転石域にパッチ状に分布し,季節的移動は見られない.4月から5月にかけて,雄が産卵直前の雌が入っている貝殻をはさみ持つ産卵前ガード行動が観察される.交尾・産卵直後にガード行動は終了する.抱卵雌は4月から2月の間に観察される.抱卵雌の出現時期とその後の卵の発達状態から,主な産卵期は5月で,雌は1年に1回産卵し,約9カ月間という長期にわたって抱卵することが明らかになった.交尾前ガード行動はホンヤドカリ属に普通に見られる行動であるが,長期にわたる抱卵期間は同地に生息する同属他種,あるいは他所に分布する同属のそれと比較しても非常に長く,きわだった繁殖特性といえる.このことは本種の属するホンヤドカリ属は,種類数の豊富さとともに,その繁殖特性にも多様な面が含まれることを示唆している.
  • 吉川 貴志, 浜野 龍夫, 林 健一
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 93-97
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    30℃および2℃においた8種の保存液(1%,3%および5%ホルマリン,1%,3%および5%中性ホルマリン,50%エチレングリコール,2.5%グルタルアルデヒド)にヤマトヌマエビcaridina japonicaの第1ゾエアを収容して遮光し,腹部に分布する色素胞の退色状況の経時変化を観察した.その結果,ゾエア幼生の色素胞の退色を防ぐ最も有効な保存方法は,2℃下においた1%ホルマリン溶液による保存であった.
  • 郭 照良, 鈴木 廣志
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 98-103
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    中国湖南省において,第1著者は近年大型甲殻類の生物地理学的研究を継続している.1992年8月,多数のヒメヌマエビ属の未記載の標本が採集された.本標本は,Caridina mengae,および"C.typus"グループのヌマエビ類と類似したが,背側が無歯の短い額角を持ち,第1胸脚の指部が掌部よりも長く,雄の第1腹肢内股基部に長い羽状毛を備え,尾部後縁中央には棘がなく,第3顎脚の各節の長さと幅の比によりC.mengaeと区別された.また,雄第1腹肢内肢の形状およびその内突起が内肢中央部からでることより,"C.typus"グループの他の10種とも容易に区別できた.以上のことから本種をヒメヌマエビ属の1新種,C.mengaeoidesとして記載した.
  • Md. Younus Mia, 諸喜田 茂充
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 104-120
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    ミナミアシハラガニの幼生を室内水槽で飼育し,各幼生と椎ガニの形態を図解し記載した.孵化幼生は5ゾエア期と1メガロパ期を経て,椎ガニに変態した.本種のゾエア幼生は,胸部甲の側棘(carapacial lateral spine)を有しない点が特徴で,同属の他種と容易に区別できる.
  • Christopher P. Norman, 森川 由隆
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 121-128
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    千葉県の東京水産大学坂田実験実習場において1991年4月から1992年12月までの間,イセエビのプエルルスおよび椎エビの生息場所を定期的に調べた.昼間に利用していた岩礁表面の穴の位置,垂直面からの角度および海底からの高さを記録した.調査した岩礁の高さは0.9〜1.4mであり,その85%が1.0〜1.1mの範囲にあった.プエルルスおよび初齢期の椎エビは岩礁表面において規則的に分布し,より垂直に近い傾斜の大の方を海底付近や水平に近い傾斜の穴よりも好んで利用していた.この傾向は頭胸甲長が8〜20mmの椎エビも同様であったが,20〜40mmのより大きな個体では認められなかった.これは大型の個体が利用するのに適した穴の数が限られているためだと考えられる.プエルルスおよび初齢期の椎エビではその91.5%が穴の中で逆さまになっているのが観察されたが,大きくなるにつれてこの割合は減少した.
  • Niel L. Bruce
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 129-136
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    千葉県銚子沖からとられたヤリイカの外套膜に付着していた雄1個体に基づき,新種Aegakomaiを詳しい図をつけて記載した.同属他種との比較を行ったところ,本種は板状に拡がった第1触角の第1,第2節,扇平で幅広い第2触角の第5節,短く截形で末端縁に鋸歯のある腹尾節,同様の鋸歯がある尾肢,さらに第3歩脚にだけある非常に大きな棘などの特徴により他の種類から区別されることが分かった.
  • 大谷 拓也, 高橋 徹
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 137-141
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    オヨギピンノの成長にともなうはさみ脚と腹部幅の形態変化を,飼育標本および採集標本を用いて調査した.はさみ脚指節内側の歯数は,例外はあるが,4令から5令にかけて2から1に変化したが,雌雄のはさみ脚の形態に違いは見られなかった.2歯を有するはさみ脚の指節はまっすぐで,前節は細く,1歯を有するはさみ脚の指節は曲がり,前節は大きかった.腹部の形態も,4令から5令にかけて性差が現れた.歯の数が成長にともなって,2歯から1歯へ変化することは知られていなかったので,本研究の結果から2歯タイプのT.intermediaは1歯タイプのT.horvathiのシノニムであると考えられた.
  • 中谷 勇
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 142-150
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    アメリカザリガニProcambarus clarkiiの鉗脚に種々の形の過剰再生体を誘発した.前節の一部を側方から神経幹の1本を切断するようにU-字型に切除すると,前節の基部側と先端側それぞれの傷面から不動持と同様の構造物が向かい合って形成された.この1対の構造物は,傷の幅が相対的に広いと互いに離れており,それぞれの鈎爪と鋸歯は向かい合って形成された.この1対の構造物は,傷の幅が狭いと基部付近で融合しているが先端の方では二つに分かれるか,または全長にわたって融合した.後者の場合は,それぞれの鋸歯は背側または腹側に並列に形成されたが,鈎爪は形成されないか,または,先端に1対の鈎爪が形成されたが,鋸歯は形成されないものもあった.過剰再生体に鈎爪も鋸歯も形成されない,単一の棘状の構造物も形成されたが,これは1対の過剰再生体がより密に融合したものと考えられる.傷口から2〜3対の融合した構造物が形成された個体もあった.
  • Marcos Tavares, Joel Braga de Mendonga Jr.
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 151-157
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    西大西洋におけるCharybdis helleriiは,カリブ海(1987,1988) ,北東ヴュネズェラ(1987),およびフロリダ東部(1995)において外来種として発見されている.新たに本種はブラジルの南東部沿岸(リオデジャネイロ)で記録された.また,ブラジルにおける本種の出現ならびに他の海産十脚類の7外来種について論議した.
  • 和田 哲, 園田 武, 五嶋 聖治
    原稿種別: 本文
    1996 年25 巻 p. 158-164
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
    テナガホンヤドカリPagurus middendorffiiを用いて,1繁殖シーズン内で交尾前ガードに参加している雌雄の体サイズの時間変動について調べ,また,大型雄の配偶者をめぐる競争での有利性を実験室内での実験で検証した.その結果,大型雄は配偶者をめぐる競争で有利であることが明かとなった.また,繁殖シーズンを通して採集されたガード中の雌雄の体サイズ間でサイズ同類交配の傾向がみられた.サイズ同類交配の傾向は繁殖シーズンのピーク期,後期においても見られたが,前期には見られなかった.雌雄ともに交尾個体の体サイズは繁殖シーズンの前期から後期にかけて小さくなり,その理由として,雄に関しては現在と将来の繁殖成功度間のトレードオフ,あるいは生理的な制約が示唆され,雌では,繁殖と成長の配分のサイズ依存的な変異,あるいは小型個体に働く生理的な制約が考えられた.
  • 原稿種別: 文献目録等
    1996 年25 巻 p. 165-169
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1996 年25 巻 p. 170-
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー
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