Crustacean Research
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Ilyoplax pingiとIlyoplax dentimerosa(スナガニ科:チゴガニ属)の個体群と繁殖
和田 恵次Byung Lae ChoeJoong Ki ParkSeung Shic Yum
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1996 年 25 巻 p. 44-53

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抄録
韓国・江華島のある干潟の高潮帯において,チゴガニ属の2種,IlyoplaxpingiとI.dentimerosaの個体群構造と繁殖生態を調べた.生息密度は,概してI.pingi(平均238/m^2)の方が, I.dentimerosa(平均159/m^2)よりも高かった.抱卵雌は,I.pingiで5月または6月から8月まで出現し,抱卵率は,8月に最大となったが,I.dentimerosaでは,4月から8月まで出現し,このうち4月には,ほとんどの成体雌が抱卵するという極端に高い抱卵率を示した.椎ガニの新規加入はI.pingiでは9月から10月にかけて,I.dentimerosaでは5・6月に多く見られた.両種とも,雌は,生後1年で繁殖に参加することが推察された.1雌当たりの卵数はI.pingi(平均2192)の方が,I.dentimerosa(平均1136)よりも多く,反対に卵サイズは,I.dentimerosa(平均0.0248mm^3)の方がI.pingi(平均0.0112mm^3)よりも大きかった.ペアー形成は,両種とも,雌雄が同一の巣穴に入ることで行われた.ただしI.pingiでは,放浪雌が巣穴所有の雄の巣穴に入る場合が多かったが,I.dentimerosaでは,逆に巣穴所有雄が,一旦自分の巣穴から離れて近くの巣穴所有雌の巣穴に入る場合が多かった.
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© 1996 日本甲殻類学会
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