Crustacean Research
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カニダマシ科の精包および精子の形態学的研究. I. Aliaporcellana suluensis・Pisidia longicornis
Christopher C. TudgeBarrie G. M. Jamieson
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1996 年 25 巻 p. 73-85

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抄録
カニダマシ科の2種,Aliaporcellana suluensisおよびpisidia longicornisの精包と精子の微細構造について研究を行った.両種とも精包は有柄で球形から卵形で,瓶状体のなかに螺旋状になった少数の非常に長い精子を含んでいる.瓶状体は2分しており,それぞれが複雑な形の,肥厚した側面の隆起部で結合している.両種の精子には小さく複雑な先体がある.先体には穴のあいた蓋があり,核質が複雑な同心円状の構造をしている.これまで報告されている異尾類と比較すると,先体がこのように幾層にもなった層状構造を呈するのは,カニダマシ科の精子に固有の形質である.細長い精子は長い尾部を持っており,これも固有の特徴である微小管の中心部からなっている.この尾部の基部は細胞質に取り囲まれ,先端部分は核の鞘に取り囲まれている.微小管の中心部は,末端に向かって分かれ, 4本以上の外部微小管腕を作り出す.Aliaporcellanaとpisidiaにみられるほどんど鞭毛のように伸長した精子の形態は,これまで報告された十脚類のなかでも特異である.
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© 1996 日本甲殻類学会
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