白背景に有彩色2色で描いた水彩効果刺激を用いた実験により,使用色の組み合わせを適切に設定することにより内側輪郭線内部の白色知覚が向上することが報告されている.本研究では,水彩効果を用いた白色知覚への影響を考察する上で,無彩色の水彩効果刺激を用いた一対比較法での実験を行い,刺激の輝度(明るさ)からの検討を行った.本実験では,灰色背景に5段階の異なる無彩色のうちの2色での水彩効果刺激対を呈示し,内側輪郭線内部の明るさ評価を求め,明るさ知覚へ与える影響,及びその要因を検討した.10名の評価者を用いた実験の結果,無彩色の水彩効果刺激を用いて明るさ知覚を向上させることが可能であること,及び評価傾向が評価者間で2つのタイプに分かれることが確認された.その要因として,内外輪郭線の輝度値との関係,内側輪郭線・外側輪郭線と背景の明度差との関係が示唆された.