日本作物学会中国支部研究集録
Online ISSN : 2433-2968
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香り米品種の栽培事例 : 和歌山県, 奈良県, 宮崎県
猪谷 富雄
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1982 年 24 巻 p. 40-41

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抄録

香り米は、香稲、匂米、麝香稲、カバシコ、ネズミ米等ともよばれ、炊飯すると独特の香りを発生する稲品種の総称である。嵐(1975)により、すでに報告されているように、昔より九州から北海道まで山間地を中心に、ほぼ全国的に分布していた。ところが、良質多収の品種による統一、とくに終戦後の食糧難、大増産の時代に多くの在来稲とともに香り米品種の相当数が失われた。演者は、失われつつある香り米品種の形態的・生態的特性と香気成分に関心をいだき研究を進めているが、最近、高知県、宮崎県、和歌山県、等の栽培地を訪れて、「自家用米として食べ始めたらおいしくやめられない上に、他の人に提供したところ好評であった」との農家の声を多くきいている。今回は、上記調査結果の一部を報告する。網羅的な調査でなく、地域的にはなはだ偏ったものとなったが大体の傾向は把握できたものと考える。調査にあたり、現地の農業改良普及員の方々にご協力をいただいた。厚く感謝する。

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© 1982 日本作物学会中国支部
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