抄録
イネおよびムギの葉の展開は光によって強く制御されており、ムギの場合の展開はunfolding, イネのそれはunrollingとして知られている(第1図)。イネのunrollingは青色光(Blue light; B)によって促進され、このBの効果は赤色光(Red light; R)によって打ち消される。また、Rの抑制効果は直後の遠赤色光(Far-red light; FR)によって解除されることはすでに報告している。一方、ムギのunfoldingはRおよびBによって促進され、FRによってRの効果が打ち消される(第1表)。このことは葉の展開の現象としては類似していても光受容体などについては明らかに異なっていると考えられる。今回は主としてイネの第2葉を用い、切り離した葉(cetachec leaf)と切り離さない状態(intact leaf)の第2葉の光に対する反応の比較およびB-受容体の局在性、B-受容体とフイトクローム(Phytochrome)との関係、イネの品種間差位について検討した。