抄録
小麦に対する追肥窒素の利用効率は高く, 特に小穂分化期の中〜後期から頴花分化期に施用するいわゆる「穂肥」の増収効果が優れているといわれている。しかし温暖地西部ではこの期間が1月下旬〜2月上旬から3月上中旬の2ケ月近くに及ぶこともあり, これまでの研究では最適な「穂肥」施用時期について見解が一致していない。さらに頴花分化期よりやや遅い時期の追肥も増収効果があるという報告もある。また温暖地西部における窒素の基肥 : 追肥率は7 : 3から6 : 4が一般的であるが, 小麦における追肥窒素の利用効率が高いことを考慮すれば追肥割合をさらに高めることによって増収が期待できると思われる。そこでこれらの点を含め効果的な窒素施肥法を確立するため若干の試験を行ったのでその結果を報告する。