抄録
水稲の倒伏軽減剤の効果を計る指標として, 稈長と各節間長の短縮程度がよく用いられる。その場合, 下位節間長の変異が著しく大きく, 時には処理区の値が無処理区の値をかなり超えた事例も見受けられる。これは偶然的な誤差によるものではなく, 調査材料の取り扱い方がイネの生育の実際に適合していないための結果と考えられる。筆者の一人, 松葉は同一試験区のイネの主稈の中に節間長パターンを明瞭に異にする生育型が通常2型混在しており, これらは主稈総葉数の1葉差に対応していることを明らかにした。これに基づいて1株1本植えの圃場試験における節間長の一調査基準も先に示した。その応用として, 本報では倒伏軽減剤の圃場試験における節間長の, 簡易でより精密な調査法について述べ, 上述した問題解決の一助としたい。