抄録
近畿中国地域の水稲の収量構成要素を最近15年間の統計データに基づいて分析してみると、東北、北陸地域などに比べ明らかに穂数が少ない(楠田、未発表)。このために収量水準が停滞傾向にあるとみられる。この傾向を打破していく上で、穂数の確保に直接結びついている分げつ発生を一段と高い水準で制御する技術開発が必要と考える。他方、同一栽培条件内では、最高分げつ期について早・中・晩品種間に全く差異を見いだしがたいという報告(松島、1957)があるが、その現象の発育形態的な解析は見当らない。以上のこと背景として、本報告では早晩性を異にした水稲品種間で分げつの停止にどのような差異があるのかを明らかにしようとした。