抄録
今日の水稲栽培は, 一層の低コスト化が要求されており, さらなる労働時間の短縮を期待できる新しい直播栽培技術体系の確立が最重要課題となっている.これまで, 乾田状態で作溝した播種面に種籾を散播して入水することにより, 代掻き作業の省略と播種作業の簡易化が可能で, 溝の崩壊による覆土効果も期待できる無代掻き作溝直播栽培法(乾・湛折衷直播, いわゆるカリフォルニア方式)の検討を行ってきた.その結果, 播種後入水により充分な覆土効果が確認されたものの, 出芽・苗立ちの不安定性や倒伏抵抗性に課題が残された.そこで, 本試験では種籾へのカルパー粉衣が出芽・苗立ちに及ぼす影響, ならびに倒伏軽減剤の処理が生育収量に及ぼす影響を検討した.