抄録
ソルガムは原産地アフリカ東部から, 主に食用としてインド, 中国を経て日本に渡来した。現在, 日本で栽培されているソルガムは大部分が飼料用の市販F1品種で, かつて一般に栽培されていたと言われる在来種はほとんど姿を消してしまった。その在来種はホウキモロコシを除いて糯性であり, アジアにおける糯種の地理的分布は地域, 民族の食生活文化と深くかかわっているとの報告がある(阪本, 1982, 1989)。当センターでは細胞質雄性不稔系統を利用した一代雑種育種法による青刈・サイレージ用ソルガムの品種育成を行っており, 育種素材として世界各地から導入した系統と国内収集した在来種の特性調査を行っている。その過程で胚乳の糯粳性に関するいくつかの知見が得られたので報告する。