抄録
演者らは既報において, 植物の根の導管液中の溶存気体量が培地に比べて低くなることを報告した.溶存気体量が吸水に際して減少することは, 気泡の発生によって引き起こされる導管閉塞を回避する上で有意義であり, 耐乾燥性を支援する重要な形質であると推測される.本実験では, 耐乾燥性と気体排除率との関連及び根の内部形態と気体排除率の関係を検討するために, 根部の水分条件を異にして生育させた場合, また耐乾燥性が異なるイネ品種を材料にした場合の根の溶存気体の排除率の違いを調べるとともに, 内部形態の光学顕微鏡観察を行った.