抄録
日本のほとんどの栽培品種は, 製麺性に関する選抜により種子貯蔵タンパク質の組成が高製パン性の外国品種とは異なり, タンパク質含量も低く, 製パン性が低い.そのため, 日本に適した高製パン性コムギの育成が望まれている.著者ら(1994)は高製パン性に関する貯蔵タンパク質グルテニン遺伝子の日本コムギ品種への導入を行ったが, 明確な製パン性の向上が認められなかった.本研究では, 製パン性を支配する量的遺伝子座(QTL)の検出を行うために, DNAマーカーによる遺伝子地図作成が進む組換え自殖系統を用いて製パン性の指標であるSDS沈降量を調査した結果について報告する.