2014 年 24 巻 2 号 p. 41-52
前がん病変などで検体中に存在する少数の増殖細胞が,大多数の正常細胞に紛れている場合,検体の増殖状態を知ることは困難となる。本論文では,検体中の主として増殖細胞を捉える新規フローサイトメトリーについて報告する。本法では,粒子幅や蛍光幅,細胞の染色体数に相当する情報を,それぞれ前方散乱光信号幅,蛍光信号幅,蛍光染色したDNA の蛍光強度として相関性高く測定することができた。また,細胞径とそのN/C 比(細胞核幅と細胞質幅の比)によるスキャッタグラムを描くことで,低N/C 比・高N/C 比細胞群を弁別することができた。 さらに,弁別された高N/C 比細胞群の測定結果を,本法独自の細胞増殖の指標であるCPIx(Cell Proliferation Index)により提示した。本法により,子宮頸がん検査などのがん検診への貢献が期待できる。