環境と安全
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原著論文
検知管法による大学の実験室における揮発性有機化合物濃度の経年変化(2005−2014年)
山田 悦
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2015 年 6 巻 3 号 p. 141-149

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抄録

検知管法による京都工芸繊維大学の実験室におけるクロロホルム、ジクロロメタンなど揮発性有機化合物(VOCs)11物質とフッ化水素濃度の経年変化(2005~2014年)について、外部業者による作業環境測定の結果と比較して解析した。本学ではドラフトチャンバー使用や代替溶媒の使用によりベンゼンなどのリスクは低下したが、2008年以降、使用量の増加やGPC(Gel Permeation Chromatography)の装置をドラフト内で使用することなどの困難さによりクロロホルムやジクロロメタンなどのVOCsによるリスクが増加している。大学において特に管理濃度を超える可能性が高いVOCsはクロロホルムであったが、検知管法によるクロロホルムの平均濃度が1 ppm 前後(管理濃度3 ppm)と高く、さらにメタノール、酢酸エチルなど他のVOCsが複合的に検出されている実験室は、外部測定でも改善が必要な管理区分として評価されている。本学での実験室における長期の検知管法を用いるVOCs濃度測定とその経年変化の解析から、検知管法は大学の実験室のリスク評価やリスク管理に有用であることが明らかとなった。

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© 2015 Academic Consociation of Environmental Safety and Waste Management,Japan
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