論文ID: 17G0301
大学等教育研究機関から排出される廃液・排水等複雑組成水中の1,4-ジオキサンを、ヘッドスペースGC/MS分析法により共存物質の影響を受けずに良好な感度(定量限界0.5 µg/L)で定量できることを確認した。大学等で使用する1,4-ジオキサンを含有する可能性がある試薬や洗浄剤について調査した結果、これら試薬に含有する1,4-ジオキサンは低濃度であり、排水への汚染リスクは低いことがわかった。さらに、大学で発生する重金属類含有廃液などの処理工程における原水及び処理水中の1,4-ジオキサン濃度を分析すると、処理水の方が高濃度の場合があり、処理工程での1,4-ジオキサンの混入又は生成が疑われる結果を得た。また、産業廃棄物焼却処理施設における石灰塗布バグフィルター通過に伴う1,4-ジオキサンの生成は、石灰試料に含まれるエチレングリコールあるいはポリエチレングリコールが原因と推測される。