抄録
血液脳関門は, 脳への薬物分布を制限するため脳へのDDSにおいて大きな問題となる. 近年の研究の進展により, 多くの輸送系が血液脳関門に存在し, 関与分子が同定された. その結果, 血液脳関門には, 供給輸送系と排出輸送系が存在し, 薬物がどの輸送系で認識されるかが, 脳への移行性に非常に重要であることが明らかになりつつある. さらに, 脳関門輸送系を積極的に利用することで脳へのDDSを実現する非ウイルス性キャリアの開発が進んでいる. 本稿では, 薬物輸送の観点から血液脳関門の輸送機構の最新の知見を紹介する.